乗組員の意欲が低くまともな結果が出せない潜水艦「サンタフェ」艦長マルケ大佐(当時)が、組織の立て直しを実行していく。米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方を読みました。
本書のメッセージは、人が本来持っている意欲を引き出すには、権限移譲では不十分である。自由を与えよ。というものです。
権限を委譲しただけでは何も変わらない。
理解と能力が必要。委譲するだけでなく、命令する・される関係からの解放が必要。
本当に必要なのは自由。
自由な状態≠権限が委譲された状態。
自由=生まれ持った才能・エネルギー・創造性が発揮できる状態。
生まれ持ったものだから委譲しようがない。
自ら判断して行動できる環境・技能・理解が整う=自由。
上長の力を必要としなくなるので権限委譲ができなくなる。
これこそが理想的な状態である。
・・・要約すると以上のような内容です。概ね組織心理学などの各種理論で説明できる内容かと思われます。
組織の経済学でいうと、官僚主義と創造性発揮との間でのトレードオフがありますが、この潜水艦内における最適な形に導くまでの物語ということかと思います。
本書の重要なところは正にそこであり、実際に組織のカルチャーを変えて結果につなげるという、いわゆるマネジャーではなくリーダーに求められる仕事をどのように成し遂げたかという記録になっているということです。
決して体系だった理論にねざした展開ではありません。また潜水艦が職場だという人は少ないかもしれません。
それでも変革という課題に向き合う人にとってはヒントが見つかったり、共感できたりする部分が多いのではないでしょうか。
コメントを投稿するにはログインが必要です。