機械との競争を読みました。
要約
機械にできる範囲が指数関数的に広がっている。IBMのワトソンやチェスのチャンピオンが示すように間もなく人間の能力を超える。熟練労働者の仕事が無くなっていく。蒸気機関や電気の登場で仕事を失った職人が多く出た状況と似ている。米国の所得合計は伸びているが中央値は下がり続けており、多くの人が貧しくなっている。
スーパースターや資本家とよばれる一部の人により富があつまり、多くの中間層が没落している。それらはテクノロジーに置き換えられているから。雇用者はより多くのロボット、IT投資による生産性向上を目指す。肉体労働はまだ奪われていない。たとえば造園などを機械ができるようになるのはまだ難しい。
コンピュータが一番強いのではなく、実はコンピュータと人間との組み合わせ+うまいやり方が一番強い。テクノロジーの進歩は既存の仕事を奪う一方で、新たなフロンティアを生み出している。既存のテクノロジーの組み合わせで新たな価値を生み出すことがますます容易になっている。例えば誰でも簡単にアプリを作れるし既存のSNSと組み合わせて価値を出すことができる。
メモ
別の書籍“Le Capital”(21世紀の資本)で経済学者が主張する考え〜経済成長が低成長になると、経済成長率(=給与の上昇率でもある)よりも資本のリターン(平均5%)のほうが上回るためより一部の人が豊かになり労働者はますます貧しくなる〜という考えのほうが貧富の差については説得力があるように思える。
所得の分配は現実問題としては必要だと思われる。一方でコンピュータにカバーされる領域の労働者を、新たな価値を生み出すフロンティアへと移動させるための訓練が必要。月並みにいうとそういうこと。
テクノロジーの「組み合わせ」により新たなものを作るのが容易になり、市場は世界。そんな世の中ではごく細分化された市場でヒットを生み出すチャンスがますます増殖しているというのが本書の主張するところ。誰もが生活者として同様のチャンスを持っている。
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