サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠」を読みました。

少し小難しく感じる部分があるものの、ビジネス書にしてはテンポよくエキサイティングな読後感が得られました。
何が小難しいかというと、まず著者の肩書(フィナンシャル・タイムズ アメリカ版編集長 ジリアン テット)、そして人類学の発展経緯から語り始める時点で「ああ、回りくどい、過剰なストーリーテリング、海外モノあるあるだわー」と構えてしまいました。ですが、展開する各ストーリーが後に向けてつながっており、その構成が理解しやすい。きちんと編集された書籍だと感じました。

内容は、組織が巨大化するにつれ、専門化した部署に分化していきます。その際に、人々が”タコツボ化”することの弊害(所属組織に閉じこもり機会を逸失したり、リスクを見逃して巨額の損失を被ったりする=サイロ・エフェクト)。またそれを防ぎ、乗り越える努力について紹介されています。

ありがちなテーマでありながら、この本が素晴らしいのは、人類学的視点(インサイダー兼アウトサイダー)から切り取っていること。特に「人々は物事をどのように分類するのか、なぜそうするのか」。が一貫した地図として読者に手渡され、それを参照しながら幾つかのケースから学べるというところ。

最終的にサイロを打破する特効薬はまだ見つかっていないという結論でありながらも、人類の未来に希望をもたせてくれる内容であります。
続きを読む サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践

これも会社の本棚で手に取ったもの。勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践

ビジネス分析の各種フレームワークはそれはそれとして、使えない。とどこかで決め込んでいました。でも、何十年も廃れずに残っているものは、使えるから残っている。それなりの理由があるんだぜ?というメッセージが自分にとっては一番の決め手。
各種フレームワークが紹介されてはいますが、とにかく3C分析は最強だということはこの頃身にしみています。デザインについて突き詰めて考えていくと、3Cが明確になってるってとても大事なんですね。顧客体験もそこから見えてくるものがあるあるって感じで。はい。

ということで多くの人にとってはありきたりの内容かもしれませんが、自分にとっては新しい世界が開けるきっかけになりました。

ちなみに、3Cについては、他のいろいろなものを内包していると思います。自分は5Forcesやマーケティングの4P、戦略キャンバス、バリューチェーン分析なんかを3Cの中に内包して表現します。巨大な印刷物ができてしまいますが。 続きを読む 勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践

イシューからはじめよ

悩んでいた去年の夏頃でしたでしょうか、イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」を偶然会社の本棚で手に取り、読みました。もちろん、有名な本なので前から知っていたのですが、食わず嫌いと言いますか。

仕事とは問題解決の連続ではありますが、最も難しいのは解決方法を作ることではなく、本当の問題は何か?という設定にあります。この本はイシューを見極めるという、問題の見立ての技術を明らかにしています。ロジカルシンキング本やコンサル本といった類の中ではかなり本質をついており、独自の切り口だと思います。

読んでからというもの、仕事の進め方をよりコンパクトに出来るようになったと感じています。 続きを読む イシューからはじめよ

hooked ハマるしかけ

Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルールを読みました。

その名の通り、消費者が「ハマる」ソフトウェアプロダクトをどのように作るのか?のヒントを授けてくれます。

まとめ

下記1~4がうまく一体になっているもの=習慣化かと思います。
本書からは1〜4は別々のものであり、順序であるかのような印象を受けますが、よくできたサービスに照らし合わせると、コアの価値が、これら全てを兼ねているのではないでしょうか。
triggerでありactionでありrewardでありinvestmentであるものを設計するのが肝要に思います。

これに沿って作れば、ある程度ハマるものはできそうですが、独自の価値がなければやはり付け焼刃。あくまでもユーザー経験設計の一環と言えそう。

続きを読む hooked ハマるしかけ

米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方

乗組員の意欲が低くまともな結果が出せない潜水艦「サンタフェ」艦長マルケ大佐(当時)が、組織の立て直しを実行していく。米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方を読みました。

本書のメッセージは、人が本来持っている意欲を引き出すには、権限移譲では不十分である。自由を与えよ。というものです。

権限を委譲しただけでは何も変わらない。
理解と能力が必要。委譲するだけでなく、命令する・される関係からの解放が必要。

本当に必要なのは自由。
自由な状態≠権限が委譲された状態。
自由=生まれ持った才能・エネルギー・創造性が発揮できる状態。
生まれ持ったものだから委譲しようがない。
自ら判断して行動できる環境・技能・理解が整う=自由。
上長の力を必要としなくなるので権限委譲ができなくなる。
これこそが理想的な状態である。 続きを読む 米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方

リピーターになる時期は予測できる

なかなか刺激的なタイトル。リピーターになる時期は予測できるを読みました。
顧客ロイヤルティマーケティングに関する本。
B2Cにおいて目先の数字ではなく、しっかりと資産を築き上げていくような仕事をするなら、このような考え方は理解しておいたほうがいい。

メモ

CPM Customer Portfolio Management 顧客ポートフォリオマネジメント理論
CPMはお客様の心理状態をあぶりだすため(そしてアクションをするため)のスナップショット 続きを読む リピーターになる時期は予測できる

グロースハックのための仮説の立て方

「仮説ってどうやって出すのですか?」
「考えてみたのですが、これって仮説になってますか?」
など、仮説についての質問を様々な人から受けるようになりました。
「仮説~検証」サイクルで思考できる人が増えてきたのだと思っています。

一方で、どう仮説を導けば良いのか悩んでいる人も多いようです。かくいう私もそうです。

方法論についてはとても自由度が高く、どのやり方が正解とはいえない世界です。

見つめ直したい「ブライトスポット」

実は私は、ある考え方を取り入れてから、仮説の精度があがり、仕事の進みがよくなるという経験をしています。
それが「ブライトスポット」に着目する仮説立案です。 続きを読む グロースハックのための仮説の立て方

やっぱり情報は人からとるのがいい

RSSリーダーというムダ遣い

Google Readerがサービス終了して、別のRSSリーダーを使い始めました。
長年お世話になったGoogle Reader。いつの間にか登録フィードは増え、優先順位でグループ分けするもすぐに陳腐化し・・・。

今回RSSリーダーを変えるにあたり、OPMLをあえて移行せずに、必要なものだけを登録するスタイルをとりました。

するとどうでしょう。やはり必要なものは限られています。少しでよいのです。
また、個人のブログは更新が止まっていたりすることが多く、フィード登録が無意味になっていることも多かったです。

情報取得を楽にしようとすると、整理するコストがかかります。
そもそも、当初価値ある情報でも、自分にとって価値が下がることがよくあります。たとえば、ストック情報であれば一度把握してしまえば同じような情報をとり続ける意味はありません。フロー情報でもその分野が自分にとって関係が薄まればやはり価値が下がります。
このようなことを意識して整理し続けるのはちょっと大変。 続きを読む やっぱり情報は人からとるのがいい

貸席経済圏を作る

いまの経済は本質的に貸席経済である—大前研一氏の言葉です。
端的に言うと、「人と企業が集まる素敵な地域を作る。すると資本を呼び込むことができ、繁栄する。そのために地域の特性を活かした戦略を練る。」ということで、地域経営力の無さゆえに没落する日本の地方(というか日本国家)。対照的に世界の各国では、地方が独自の地域経営を行いながら成長戦略を実行しています。

人口1億を超える先進国中でここまで中央集権国家なのは日本ぐらいで、単位として大きすぎ、成長の足かせです。
ただしこの事態を打開できる気もせず、没落に歯止めがかからない日本国民としては気分が滅入るばかりです。

ですが。まてよ、と。
「貸席経済」とは、「プラットフォーム」。
必ずしも、リアルの地域経営をしなくてもいいのではないかと。 続きを読む 貸席経済圏を作る