Shibuya UX #11 Web Analytics for User Experience

5月30日水曜日、GMOインターネットグルプのカフェYoursにて、「ShibuyaUX #11 Analysis for UX」が開催されました。募集サイトでお集まりいただいた方、および関係者で70名以上の参加となりました。

清水さんについて

スピーカーは清水誠さん。日本のウェブマーケティングを牽引してきた人であり、デザイン、エンジニアリングも経験してきた人でもあります。

キャリアや組織のあり方に対して激しくビジョナリィであると同時にそれに負けないくらいプラグマティストである。求める、戦う、結果も出す。というところが本当に敬服しています。 語るのは「仕事の仕方」「知識」ですがそれを通して「生き方」がビシビシ伝わってくる。

清水さんのブログ 実践CMS*IA

昨年からAdobe本社での仕事を引き受けられています。米国でも活発に動いておられて、その様子は各種メディアでの執筆記事から伝わってきます。現在もSite Searchについての本を出版にむけて準備中で、11月を予定しているそうです。
ちょうど帰国中だった清水さんにお声がけしたところ、快諾いただき、今回の運びとなりました。

会場の様子。

感想

講演内容については、清水さんから提供いただいているスライドをご覧いただければ、概ねトピックを理解いただけると思います。

今まで実践されてきたことと、USで仕入れたトピックをあわせ、わかりやすく、使いやすく解説して下さるのは本当に感激です。

さて、その中でも自分が響いた箇所をピックアップ。

サイト利用品質を数値で測定し、改善する

まずは「ユーザー・エクスペリエンス」ではなく、「ユーザービリティ」の話。例えばSite Searchの分析を通して、ユーザーの目標を定義し、そこにどれだけ辿りつけているか?を指標化し、改善をまわす事例が紹介されました。

UXの検証までいくと話は大変ですが、このアプローチですと誰でも取り組むことができると思いますし、かなりの確率で結果が出そうです。しかもやってる事例日本であまり聞かないですしね。

ユーザー行動データでユーザーをセグメントし、ゴールとステップ(KPI)を設定する

力を入れて啓蒙に取り組んでおられる「コンセプト・ダイアグラム」。事業者側がユーザーに行なってほしいゴールアクション。ユーザー行動分析から見えてくるユーザーのセグメント。サイト上、およびサイトの利用前後でのユーザー・インタラクション。インタラクションの各ステップにKPIを設定。
(すみませんイメージわかないですよね僕の文章力では・・・)

これにより、ユーザーセグメントごとに、事業者がほしいゴールに対して、確実に改善をまわしていくことができます。
従来のアクセスログ解析でいわれているような、デザイン抜きの解析、最適化とは当然生産性が変わってきます。

好ましいユーザー行動、その到達度をステップにわけ、改善する。Lean Startupのコホート分析と≒だと思いました。

UXデザインを検証するためにはやはりUU単位×シナリオにそって分析を実装する。一見comprehensiveではなく、遠回りに見えるアプローチですが、着実に結果に結びつく。よって早い。

結果につながることだけ仕事する。検証できることだけデザインする。

「コンセプト・ダイアグラム」によるデザインと検証は、「ペルソナシナリオ法」によるそれと対応してる。ただ、清水さんが提唱する「コンセプト・ダイアグラム」の使い方は、基本的にはアクセスログ解析で検証できる範囲のことに注力している。とおもいます

あくまで、「サイト上の行動」でユーザーをプロファイリング(セグメント)し、それを検証しています。
例えば、ペルソナシナリオ法のこんなことはあまり考慮しません。

  • 「ユーザーの属性(年齢/性別/職業/趣味/家族/年収…)」
  • 「ユーザーのゴール(よい父親でありたい、そのためによい家族旅行を演出したい…)」

実際にユーザーにコンタクトしない検証手法では、ペルソナシナリオ法の有効性は活きて来ません。検証方法がほぼ、データのみであり、前後のコンテキストを評価できないのであれば、はたしてそこまで定義する必要がはたしてあるのか?という疑問がわいてきます。

むしろ必要十分かつ速度があがる、「データからわかる行動のみのユーザープロファイリング」に注力し、「サイト上の利用シナリオのみ」に注力したほうが、組織がおかれる環境によってはいいのではないでしょうか。

Analytics vs. UX

細かいことなのですが、気になったこと。あ、これは清水さんへの反論ではなくて、USでの言葉の使われ方やポジションの取られ方が変だなあと思ったということです。

自分としては「Analytics」と「UX」を分け隔てた概念としてUS(の一部?)で扱われていることに大変な違和感を覚えました。
「ログ等のユーザー行動データによる分析=Analytics」「UXデザインでの定性的評価技法=UX」という言葉の使われ方のようでした。

実際UXデザイン業務において、「リサーチ」「ユーザー評価」それぞれ定量データを扱いアクションすることはよくあります。またフィールドサーベイやユーザビリティテスティングといった「定性評価」といわれるものも、アクションにつなげるためには定量的に評価することが多いのではないでしょうか。そこに何か区別があるのは既存スキームで仕事をしてきた人の都合。それ以外に理由がないように思います。

一方で、「ラボ環境で少量のデータなんて信用できない」とデザインに踏み込まないアナリストや、「ログなんて見てもWhyが見えない」といまいち実データとの距離をおいてしまうデザイナー、という断絶は少なからずあったかもしれません。

結論としては清水さんはじめ皆さんおっしゃっていた、どれが最良の方法、というものはない、こだわらず、それぞれを最適な使い方で使っていくのだ、ということです。

 

最後まで残った人たちで、少人数ですが記念撮影。

会場提供、運営、全面的にバックアップして下さったGMOメディアの皆様、ありがとうございました!

 

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