社内でHCDワークショップ3:ユーザー評価

3月9日、3回目のHCDワークショップを行いました。今回から具体的に、HCDプロセスの各段階に踏み込んでいきます。
今回から2回にわたって行うのが、HCDの最終ステップ、「ユーザー評価」です。

おや?なぜいきなり、最後のステップから行うのか?これは、企業での導入研修においては、この順序で行うのが一番理解(満足度だったかも)が高まるらしい、という佐藤純さん&浅野先生らの研究成果によるものです。

この成果は広まり、いまでは「いきなり『ペルソナシナリオ法』とかやるとアウトの法則」などが知られています(注意:業界内の共通認識としての表現です)。これまで各社で実施され、ブラッシュアップされた恩恵にあずかっているわけですね。

 

実施内容

この日行ったのは、ユーザー評価の中でも、ユーザーテストによるユーザビリティテスト。

発話思考法で行った後に、簡単に分析・検討を行います。

7班あるのですが、テストの対象とするサービスは3種類。少なくとも、2班が同じテストを行うことになります。同じテストでも、差が出るのも勉強のうち。同じことを複数同時平行で行うというのは、実務ではまずできないことでよい機会だなと思いました。自分もまだ何が出てくるのか想像がついていませんが。

今回のテストは撮影しておき、次回のワークショップで書き起こしをしてN/E Methodで定量的な検討を実施する予定です。

 

実際の様子

3回目にして、参加満足度120%に振り切れました(参加者アンケートより)。さて、どのような様子だったのでしょうか。


最初の30分間は「ユーザー評価とは」についての講義。ひととおりおさえる。これだけでも結構なボリュームですが、超特急でとばして30分終了。


会場の様子。今回は録画&録音もする関係上、セミナールームをパーティションで区切って実施。

次にタスクの設定。ここで難しいのは、アクティビティとインタラクションの区別。アクティビティはテクノロジーに依存しない。2012年でも1912年でもかわらない。構造化シナリオ法をきっちりやる前に、こんなこといわれても「???」てなるんじゃないか?と思いましたが、みなさんサラリと(どうにかこうにか?)行っておられました。この人たち頭いいわ。

上の班は2枚のホワイトボードに、アクティビティとインタラクションをそれぞれ記述。
下の班はふせんにアクティビティとインタラクションを分けて記述。
それぞれに可視化の工夫。

タスクができたら、パイロットテスト。自分たちで実際にテストをひととおり行ってみて、問題なくテストを完遂できるかやってみます。これはとても重要。「時間内に実施できるか」「必要な前提はそろっているか(会員登録であれば、メアドやパスワードなど。その他、被験者が迷ってしまうようなペルソナ情報不足など。)」
パイロットテストが超重要です。今回は自分たちの練習用ですが、被験者を連れてきたときに「準備不足のせいで」タスクが完遂できないとなると、時間、労力、かなりロスです。

パイロットテスト、問題なし!となればいよいよ、ユーザビリティテストの開始です。

まずは、エキスパート役がテスト。
この日までに、このサービスを使い込んだ人が行います。当然、初めての人より早く正確にタスクを達成できるはず。

今回は身近にあるもので録画。各班内で調達できる範囲でやっていただきました。上から順に、iPad2、iPhone、デジカメ(フレキシブル三脚でイスに固定)。

いつでも手軽に記録できて便利な世の中ですね。特にiPadはそのまま大きな画面、大きな音量で再生できるので複数人同時に共有しながら作業できる。すばらしいデバイス。

タスクが達成できない、という事態はなかった模様。
タスクが終わったら、モデレータが半構造化インタビューをします。
時間もないので基本的に「エキスパート1人、ノービス2人」でテストは終了。時間があるところは自主的にノービス3人行っていました。

今回は、テストの結果をカードソートでまとめます。作業ステップごとに問題点、改善案を出して、発表。カードソートは2回目ということもあり、勝手にサクサク出来上がっていきました。早い。

あっちもこっちもカードソート。

7班5分ずつ発表。
たったこれだけのライトなテストだったけれど、どこのグループもクリティカルな問題点を大量に発見しました。
「こ、こんなに・・・この会社大丈夫か」浅野先生当惑気味。それをよそに、当人たちは問題点が見つかったのもあって嬉々として発表ww。てへぺろ。

発表中に、「なんでみんな、『すべらない話』みたいな話し方なの?」と先生に聞かれるも、そんな風に考えたことなかったのでわからずw。これがデフォルトです。カルチャー?

発表が終わったら、先生から講評。そして次回への準備について、連絡。次回はプロトコルデータの書き起こし→NEM→プレゼン。

春元室長がConversion Conferenceで持ち帰ってきたコンセプトとあわせて、ユーザーテストをUIO戦略室としてスキーム化する話をするなど。さすがこの男、頭切れるわ。と思ったのでした。

アンケートには「またすぐ自分たちのサービスで実施したい」など感想をいただきました。よし!一歩前進!まだまだこれからだけど!

終了後は今回もAjitoで一杯。でもわりと人数限られていて、多くが仕事に戻るなど。弊社からの参加は少数。う~ん、このあたり、わが部隊も「目の前のことで忙殺」な負のスパイラルなのかもと危惧。ほんとうは、自分がうまく魅力出せてないのが大きいんでしょうけれども。

少し人数多いめにしたつもりですが、それでも体調不良などで人が抜けてグループ編成に毎回苦心。人増やそうかしら。

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